幼稚園の先生といえば優しくて可愛くて、子供達の憧れの存在です。保護者から見てもそうでしょう。
しかし、幼稚園教諭の「実際」は苦労と悩みで溢れています。
幼稚園教諭は実家暮らしの人が多いのですが、そこには「幼稚園教諭ならではの苦労」が潜んでいるのです。
気になる所をツマミ読み☟
幼稚園教諭の4大苦労&悩み
『人』『金』『量』『責任』
子どもに優しく笑いかけ、一緒になって遊ぶ。幼稚園教諭はそんな「楽で楽しい仕事」なんて思われることもありますが、それは大違いです。
実際のところは「きつくて大変な仕事」の代表と言っても過言ではありません。
幼稚園教諭は”実家暮らし”が多いのですが、その理由をご存知でしょうか。
その理由は・・・
- 一人じゃ消化しきれないほどの人間関係のストレス
- 家賃を払うといつまでたっても貯金が出来ない低賃金
- お弁当を作ったり、家事をしたりする時間もないほどの「持ち帰り」
- 頼られ・責任ある立場から、誰かを頼りほっと一息つく場所が必須
だからです。
朝、母親に髪を乾かしもらいながら一口大に切った食パンを口に運んでもらい、その間に化粧をする。そんな幼稚園教諭の同期がいました。
幼稚園ではとてもしっかりしていて、子ども、保護者、職員間でもズバ抜けて信頼のある人です。
そんな彼女も毎日19時まで幼稚園で仕事をして、帰りに同期とファーストフードに寄って22時頃まで一緒に仕事をし、帰ってからもまた1時2時まで仕事をしていました。
そのため朝ギリギリまで寝ていたくて支度をお母さんに手伝ってもらっていたのです。
彼女は極端な例かもしれませんが、本気でやろうとするとそのくらい大変で、誰かのサポートが必要なのが幼稚園教諭の仕事なのです。
では、具体的な苦労を見てみましょう。
『人』(人間関係)の苦労&悩み
幼稚園教諭が抱える人間関係の悩みは大きく分けて3つあります。
①同僚(先輩・後輩・同期)
新卒1年目。ペアを組んだ先輩とソリが合わず1年経たずに退職。なんてことは、よくある話です。
②保護者
一時期騒がれましたが「モンペ(モンスターペアレント)」と言われる保護者は実在します。ネットやドラマの世界だけの話ではありません。
③園長など責任者
何か起きた時、最終的に仲裁をしたり、解決へ導くのは園長や主任などの責任者です。
その園長や主任と考えが合わなかったり、「変わり者」と呼ばれる類の人だと、かなり苦労します。
原因は?
女性の職場
幼稚園で働く職員は気が強くテキパキとした人が多いのです。逆に、のんびり、ほんわかした人ではなかなか務まらない、そういう職業です。
そんな「気が強く、テキパキした女性」が多く集まると…なんとなく想像できますよね。
一部の保護者
保育園に比べ、1人担任かつ担当する子供の人数が多い時点でモンペに当たる可能性が高くなります。
どうしても目が届かない部分もあり、そこへ不満をもつ保護者も少なからず存在します。
園長や主任などへの不信感
このトラブルが一番起きやすいのが「家族・同族経営の幼稚園」です。家族や身内だけで幼稚園を経営していると、どうしてもかたよった教育方針になりがちです。
また、幼稚園の方針や、主任・園長などTOPの人間に疑問を抱いたとき、相談できる人がいない。という状況に陥ります。
ワンポイントアドバイス
女性が多い職場で人間関係のトラブルが怒るのはある程度仕方のないことです。あまり思い詰めず「この人は合わないな」と距離を置けるならそれが一番。
また、保護者はどうしても我が子が可愛いもの。そんな保護者に何か伝えなければならない時はまず普段の子供の様子や良いところをまずは伝えるとスムーズに話を進めることができます。
『金』(低賃金)の苦労&悩み
「保育士」の低賃金が話題になりますが、これは保育士に限ったことではありません。
保育園と違い、幼稚園は独自に保育料を決める事が出来るため、幼稚園教諭の給与は働く場所によって大きく違います。
しかし、厚生労働省の資料を見ると、平均給与は以下の様になっています。
<参考資料:厚生労働省HPより>
【幼稚園教諭】
公立:約370万円 私立:約252万円
【保育士】
公立:約287万円 私立:約255万円
※平成25年度と少し古い統計ですが、幼稚園教諭に関しては、現在も多きな改善はありません。保育士に関しては人材不足の深刻化がが進み、各自治体が補助金や手当の充実に乗り出しています。
※また、上記の金額は共に役職などついていない場合の所得です)
なんと私立の幼稚園では、低賃金が騒がれている「保育士」より給与が低くなっています。
また、幼稚園教諭の寿命は短く、「定年まで勤める」という職種ではありません。このため、勤続年数がのびず、所得が上がらない原因となっています。
原因は?
幼稚園は保育園と違い、保育料を独自に設定することができます。私が勤めていた幼稚園の初任給は手取りで16万弱、ボーナスも年に40万程度でした。
しかし、大学の同期が入社した私立幼稚園はボーナスが年間100万近くありました。
幼稚園教諭の給与には格差があるのが現状です。
ワンポイントアドバイス
まず、どの園でも出来る給与アップの方法は「長く勤める」ことと「役職に就くこと」です。
そして、最も手っ取り早い方法が「初めから給与の高い園を選ぶこと」です。毎年3〜5千円給与がアップしたところで元が低ければ大した額にはなりません。
『量』(仕事量)の苦労&悩み
幼稚園教諭はただ「幼稚園の先生」として、子どもと一緒に過ごしているだけではありません。
保育以外の仕事量が「マジ半端ねぇ…」のです。
○○案・○○計画という名の小悪魔
日案(日誌)に始まり、週案、月案、年間計画…
と、事細かに保育に関する計画を書面にしなくてはなりません。
この○○案関係を作成するのは、慣れるまでの間とても時間がかかります。
休日などに持ち帰り、プライベートな時間に作成する人がほとんどではないでしょうか。
イベントという名の悪魔
日本には楽しいイベントがたくさんあります。
- お正月
- お月見
- ハロウィン
- クリスマス
- お誕生日に
- 父の日、母の日
- 入園式
- 卒園式
- 運動会
- 生活発表会
幼稚園教諭はそのたびに、内容を考え装飾を作製し、子ども達がする製作の準備も必要になります。
毎日の保育の合間に・・・なんて出来るはずがありません。
では、いつするのか?
答えは簡単。「持ち帰り」です。
育児支援のしわ寄せ
子どもをとりまく家庭環境が変化してきました。
共働き家庭が増え、共働きでも子どもを幼稚園へ通わせる家庭が増えています。
このニーズに答えるため、「早朝保育」や「延長保育」、冬季や夏季の長期休暇にも保育を行う幼稚園が多くなっています。
対応する幼稚園教諭の勤務時間も必然と長くなります。
一昔前なら「8月は出勤4日だけ」なんてことも珍しくありませんでしたが、今ではそんな幼稚園は珍しいのではないでしょうか。
原因は?
幼稚園教諭の残業や持ち帰りはどうしても「そんなもの」という悪い習慣が影響しています。
「そいういう業界」なのです。少しずつ環境は良くなってきていますが、劇的な改善はまだ期待できないのが現状です。
ワンポイントアドバイス
- 慣れて早くこなせるようなる
- 完璧を求めない
- 周りと協力する
これらを実践すると共に「環境の整った職場」で働くことが何よりも大切です。
仕事量や給与が適正な職場は離職率も低く、職員一人一人のスキルが高い傾向にあり、新人教育に時間を費やしたり、忙しさゆえの人間関係の歪みも起こりにくくなります。
責任(責任の重さ)
に対する苦労&悩み
元気いっぱいの子ども30人を1人でみます。 走り回り、ケンカもします。子どもたちの安全を守るには、一時も気が抜けず、目も離せません。
そうしていても、ケガや事故は起こってしまいます。
不可抗力な時もあれば、注意不足による「幼稚園教諭の責任」なこともあります。
こういったケガや事故が起きた場合、幼稚園教諭はとても自分を責めますし、時には保護者に責められることもあります。
- ケガがなくて当然
- 事故がなくて当然
とても難しいことを「当然」として要求される、責任重大な仕事です。
この責任の重さに耐えきれず、幼稚園をやめていく人が多くいます。
原因は?
子供の命を預かる仕事なのですから責任が重くて当然です。問題はそこではなく「責任が重いのに待遇が見合っていない」ということ。
看護師、医師など通常人の責任の重い仕事は賃金が高かったり待遇が良いのが普通です。しかし幼稚園教諭は違います。
その理由は「人気職種だから」です。賃金が低く重労働でも人材確保に困りません。それに対し保育士は危機的に不足しているため待遇がどんどん向上しています。
ワンポイントアドバイス
人気があるから人材確保に困らないとは言っても「質のいい人材」を求めて高待遇を掲げている幼稚園はたくさんあります。
特に2019年10月に始まった保育無償化の対象とならない幼稚園は、園児を確保するために独自の教育プログラムや質の高い保育を提供する流れにあります。こう言った幼稚園では特に質の高い幼稚園教諭を求めているため、待遇も整っていることが多いのです。
もし、幼稚園勤務経験が長かったり、英語が話せる、音大レベルのピアノ、美術関係の実績などがあれば、その強みを活かせる職場を選ぶと待遇も劇的に改善するはずです。
幼稚園教諭の苦労や悩みを
最小限にする方法
苦労を最小限に抑える方法はただひとつ。じっくり「検討」し「選択」することです。
全てにおいて、慎重に検討し選択する必要があります。
『人』『金』『量』『責任』すべて根の深い問題であり、解決するのは難しいものばかりです。それに、近い将来解決しそうな兆しもみえません。
そこで、この苦をなるべく最小限にするには「選択」することがとても重要です。
付き合う人を選ぶ
ベアの先生など、避けられない環境の場合もあると思います。しかし、それ以外は自分の意志で「つき合う人」をきちんと選びましょう。
八方美人は、始めこそ可愛がられていいかもしれませんが、いつか必ず自分の首をしめます。また、保護者もそうです。
嫌われたくない、敵に回したくない。という思いから媚びてしまったり、他人の悪口に同調するのはやめましょう。保護者の「保育」とは関係ない愚痴や、噂話に参加してはいけません。
「私にはわかりません」「私は失礼します」と言って毅然とした態度でその場を去りましょう。そういう態度を続けていれば、保護者もあなたに話す内容を選ぶようになります。
親しみのある先生になることも大切ですが、「ある程度の距離」を保つことはもっと大切です。
経営元を選ぶ
人間関係は働きだなさないと分からないところもありますが、給与など客観的に判断できるものに対しては、あとから不満を言ったところで、自分の責任でもあります。
公立の幼稚園・私立の幼稚園・企業が経営している保育施設・NPO法人が運営している保育事業。どかが運営しているかによって給与が大きく変わってきます。また、昇給も違います。
公立の幼稚園で「頑張り」が評価されて給与が上がることはまずなく「年功序列」の世界ですが、企業が経営るす施設であれば「実力」が評価され昇給につながることはいくらでもあります。
責任者・経営者を選ぶ
子どもに関わる仕事をする限り、その責任から逃れることはできません。どこで働こうとも、重大な責任を負って働くことになります。
しかし、子どもの安全をしっかりと考えた経営者や責任者の元で働くことは、絶対に不可欠です。
あなたがどんなにしっかりとした保育を行ったところで、遊具の点検がされていなかったり、配置基準に満たない職人数で運営していたりすると、必ず事故が起きます。
こういった時、いい加減な経営者ほど私たちを守ってはくれません。
信頼できる責任者・経営者は、何か起こってしまった時にもしっかりとフォローし、あなたを守ってくれます。『誰の元で働くか』「経営はどこか』も慎重に選択する必要があります。
働く場所を選ぶ
あなたが「保育」をしたいのであって幼稚園にこだわりがないのなら、幼稚園以外の選択肢も考えてみてください。
企業が運営している一時的な託児施設や、年々需要が高まっている放課後デイサービスの指導員などです。
働く場所を「幼稚園」と決め込まず、広い視野で「保育」の仕事を探してみると違う働き方が見えてくるかもしれません。

まとめ
幼稚園教諭の仕事は、世間のイメージとは裏腹に『ストレスフル』で『給与が低く』『重労働』で『責任重大』な仕事です。
ですが、子ども達の成長をまじかに見れ、未来を担う人材を育成する、誇れる仕事です。
「苦労」は報われさえすれば、問題ありません。報われ方は人それぞれです。
- 『子どもの笑顔』で報われる人。
- 保護者の「ありがとう」で報われる人。
- 報酬で報われる人
何を得られれば自分は報われるのか。
そこをしっかり考えて、保育に専念できる環境を整えてくださいね。
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