【保育教諭とは】幼稚園教諭免許で保育教諭になれる?

2012年(平成24)に成立した『改正認定こども園法』により、「幼保連携型認定こども園」が設立されました。ここで働く職員は、原則として「保育教諭」でなければなりません。
「幼保連携型認定こども園」や「保育教諭」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

1.認定子ども園とは?

最近では、一見普通の幼稚園や保育所でも「認定こども園」という看板をかかげている施設が増えてきました。
 
「ここは認定こども園だからね」なんて話を聞くと「ふーん、そうなんだぁ。」と思うだけで、「認定こども園」というものをきちんと理解している人はあまり多くないのではないでしょうか。
 
内閣府のHPでは、「認定こども園」についてこう説明されています。
 
 
認定こども園には、地域の実情や保護者のニーズに応じて選択が可能となるよう多様なタイプがあります。なお、認定こども園の認定を受けても幼稚園や保育所等はその位置づけは失いません。
 
・幼保連携型
幼稚園的機能と保育所的機能の両方の機能をあわせ持つ単一の施設として、認定こども園としての機能を果たすタイプ。
 
・幼稚園型
認可幼稚園が、保育が必要な子どものための保育時間を確保するなど、保育所的な機能を備えて認定こども園としての機能を果たすタイプ
 
・保育所型
認可保育所が、保育が必要な子ども以外の子どもも受け入れるなど、幼稚園的な機能を備えることで認定こども園としての機能を果たすタイプ
 
・地方裁量型
幼稚園・保育所いずれの認可もない地域の教育・保育施設が、認定こども園として必要な機能を果たすタイプ
 
簡単に言うと、保育所的機能と幼稚園的機能(教育目的)の両方を持ち、「認定こども園」として認定を受けた施設のことです。
 
基本的に、保育所は保育に欠ける子どもしか入園できません。逆に、幼稚園は保育ではなく「教育」が行われています。
 
この2つ合わせた機能を持つ施設なので、働いている親、働いていない親、4時間で帰る子ども、最長12時間程度施設にいる子どもなどが、入り混じった施設となります。
 
この認定こども園の中で、「幼保連携型」とされている施設が「保育教諭」を必要とする施設です。

2.『幼保連携型認定こども園』とは?

認定子ども園には4つのタイプがあると前述しました。
 
その中で、働く職員が「保育教諭」であることを義務づけている施設が「幼保連携型子ども園」です。
 
「幼保連携型子ども園」とは、0歳から就学前までの子どもを対象とした施設で、親が働いていても働いていなくても、保育に欠ける子どもも、保育に欠けない子どもも通うことが出来る施設です。
 
簡単にいうと、幼稚園と保育園が合体したような施設です。
 
通う子どもは「1号認定」「2号認定」「3号認定」と、環境に合わせた認定で入園するので、保育料や保育時間の違いがあります。
 
幅広い年齢の子どもと、さまざまな環境の子どもと接することになるので、この幼保連携型認定こども園で働く職員は、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持っていなければなりません。
 
この2つの免許と資格を持った人材を「保育教諭」と呼びます。

3.保育教諭になるには

では、保育教諭になるにはどうすればいいのでしょうか。
 
いま、幼稚園教諭免許と保育士資格をすでに取得している人は何もする必要はありません。
 
「保育教諭」に試験や登録はありません。幼稚園教諭免許と保育士資格を持つ人の事を「保育教諭」と呼んでいるだけです。
 
では、現在幼稚園教諭免許だけをもっている場合、「保育教諭」になることはできないのでしょうか。
 
幼稚園教諭免許を持っている人が、保育教諭になりたければ「保育士資格」を取得する必要があります。
 
通常、保育士資格を取得するためには、専門学校や短期大学、大学に通うか、試験を受けなければなりません。これには、かなりの時間と費用がかかります。
 
しかし、現在国をあげて「保育教諭」を促進しているため、「保育士資格取得特例制度」というものが設けられており、幼稚園教諭免許を持っている人は比較的軽い負担で保育士資格を取得することが可能です。
 
「特例制度」の利用についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
 
特例制度を利用し、保育士資格を取得すれば「保育教諭」として、「幼保連携型こども園」で働くことができます。
 
※平成29年までは、法改正後の経過措置として「どちらか一方(幼稚園教諭・保育士)」を有していれば、「保育教諭」として働くことが出来ていました。しかし、現在はこの経過措置期間も過ぎ、両方を有していないと「保育教諭」として働くことは出来ません。

4.保育教諭の仕事内容

では、「保育教諭」の仕事内容とはどのようなものでしょうか。
 
「保育教諭」は幼稚園教諭の仕事にくらべ「保育」の要素が強くなります。
 
何歳を受け持つかによって大きく変わってきますが、幼稚園とは違い0歳の乳児も保育することになります。
こうなると、オムツ替えや授乳、寝かしつけなど、幼稚園では経験してこなかった業務が加わります。
 
また、保育時間が長くなるため、幼稚園では「設定保育」中心だったものが、子どもが比較的自由に遊ぶ時間や生活的要素(昼寝やおやつなど)が増えます。
 
そのため、トイレトレーニングや箸の持ち方といった、家庭で行う教育やしつけのような部分もある程度担うことになります。

5.保育教諭の給与

「幼稚園教諭免許」と「保育士資格」の2つをもち、幅広年齢の子どもに「教育」と「保育」を行なう。
 
そうなると、「幼稚園教諭より給与も高いのでは?!」と期待したくなりますが、基本的には「保育教諭」だからと言って給与が高いといことはあまりありません。
 
これは、幼稚園や保育園が園によって給料が違うと同じ様に、施設によって差があるだけです。
 
今後「幼保連携型認定こども園」が増え、人材確保がさらに厳しくなると、「保育教諭」への待遇改善として給与が上がる可能性はあるかもしれませんが…

6.まとめ

yomoko

「保育教諭」とは、「幼稚園教諭免許」と「保育士資格」を併せ持つ人の呼び名です。
「幼保連携型認定こども園」で働くには「保育教諭」でなければならず、これからますます需要の高まる人材です。
 
「保育教諭」になるための試験や登録といったものはなく、「幼稚園教諭免許」と「保育士資格」をもつ人ならば誰でも「保育教諭」として活躍することができます。
 
幼稚園教諭免許しか持っていない人は、「特例制度」を利用して保育士資格を取得し、「保育教諭」として活躍できる準備をしておくと、今度転職や再就職に有利になるでしょう。

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